令和6年度から日本伝熱学会・中国四国支部長を拝命させていただいております山口東京理科大学の結城です。

 

 近年、日本は危機的なエネルギー問題と環境問題に直面しています。高品質かつ高精度な日本のモノづくりを強力に後押しするには安価で安定したエネルギー供給が不可欠となります。そのためには、エネルギー問題の根幹となるエネルギー3E(エネルギーセキュリティ・環境・経済)を意識しながら、ベース電源の確保、再生可能エネルギーの普及、エネルギーハーベスト、省エネルギー技術の普及、これらの4つを推進し後押しするような学会活動が重要となります。

 

 その意味で中国四国支部は、バイオマス、エネルギー貯蔵・輸送、燃焼、プラズマ、鉄鋼、火力、原子力など、様々なエネルギー関連研究に取り組む研究者が世界レベルで活躍する特徴的な支部と言えます。その特徴を生かし、中国四国支部では異なる分野間の交流を活性化し、最新の研究情報を横断的に共有するため伝熱セミナーや特別講演会の内容について検討・立案しています。特に近年では、次代のモノづくりを担う大学生の発表の場を多く設け、学生同士の交流や切磋琢磨する場の提供に力を入れています。

 

 AIが次代技術として大きな役割を担うことは否定しません。しかしながら時代を超えて普遍的で重要なものはAI以外に存在します。それは個人の熱意や志、そして技術を具現化していくために必要な人間同士のコミュニケーションであると信じて止みません。中国四国支部では、先端技術の共有による相互の研究発展はもちろんのこと、志高い次世代のエンジニアを育成すべく産学が連携していく決意です。また中国四国エリアから関連する最先端研究・技術をグローバルに発信できるよう、国際交流を活発に推進し、国際会議等の開催・共催を増やしていきたいと考えています。会員の皆様には、これらの機会を是非ご活用いただき、支部内外問わず関連諸行事に御参加いただけますようよろしくお願い申し上げます。