第30期 (2023年度) 支部長
浅野 等


  2023(令和5)年度,第30期関西支部長を拝命した神戸大学 浅野等です.副支部長には,第29期に引き続き大阪大学 芝原正彦先生,産業界からはダイキン工業 笠井一成様に就任頂いております.また, 常任幹事には同志社大学 稲岡恭二先生に就任頂きました.加えて,支部委員会委員長をお願いしております兵庫県立大学 河南治先生(企画委員会),近畿大学 澤井徹先生(セミナー委員会),大阪大学 津島将司先生(伝熱技術フォーラム委員会),京都大学 巽和也先生(国際交流委員会)とともに第30期,第31期を運営して参ります.
  今年度は,アフターコロナへの転換として非常に重要な年になると思います.2020年1月にCOVID-19の国内感染者が初めて確認されてから3年以上経過し,この5月にやっと5類に変わり行動制限も解かれコロナ禍前の生活に戻っています.コロナ禍の3年間にはリモート会議やオンライン講義のツールも普及し,非常に便利になりました.長距離移動することなく会議に出席できますし,海外研究者との交流も容易になりました.しかし,リモート会議は,よく顔の知ったメンバーで型通りのことを議論調整するケースでは問題はなく,経費を抑えることができてよいのですが,日頃,顔を合わせない方との議論,学会活動や研究活動における企画,重要案件の審議については,リモートでは議論が活発にならないと感じております.画面で資料を共有している場合には,発言者,そして参加者の表情,雰囲気がわからず,意見をあげるにも躊躇してしまいます.発言していても相手の反応がわからず,何を,誰に話しているのかすら希薄になる時があります.やはり,現場で議論を交わすことが自身の理解も得られますし,仕事もはかどるようです.一方,どの学会においても会員数減少,特に企業の方々の会員数減少が問題となっています.そのような議論で話題にあがるのは,「会員のメリットは?」です.会費を払ってその分の利得が得られるか,ということになりますが,明確な短期的なメリットはありませんし,自身で考えるべきものと思います.○○パフォーマンス(タイパ,コスパなど)という言葉が日常的に使われるようになってから,少しおかしくなっているように思います.今更ながらですが,グローバル化の進行で日本市場に成長は見込めず,従来通りを踏襲しているだけでは利益は得られません.日本,そして社会の変化,技術開発,基本研究の動向を把握しておくことが,何かの機会に生きてくるものと思います.学会は,その場に行けばいろんな情報を得られる,皆がどういうことを考えているか感じられる,人のつながりを作れる,など,楽しめる場でありたいと思っています.関西は,産官学,老いも若きも分け隔てなく,気軽に意見交換できる環境ですので,是非,関西支部の行事に参加し,楽しんでいただければと思いますし,そのような環境が維持されるようサポートしていきたいと思います.
  一方,公益社団法人である日本伝熱学会において,経理の扱いが厳しくなっています.従来,支部が独立して運用してきた基金が一本化され,保持できる金額の上限が支部交付金の10倍となっています.活発な支部活動や学生の国際活動援助を如何に継続していくか,検討・議論を進めていきたいと考えています.特に,学生援助については支部独自の活動を継続するか,その形態をどのようにするか,など議論を進めたいと考えています.
  まだまだ様々な課題はありますが,支部運営について,手探りながらも皆さまと一緒に考えて参りたいと思いますので,今後ともご支援賜りますよう,よろしくお願い申し上げます.