日本伝熱学会抜山記念国際賞

抜山四郎博士と日本伝熱学会抜山記念国際賞について

抜山記念賞は，抜山四郎の優れた伝熱研究者としての卓越した業績を記念するために日本伝熱学会によって創設された．抜山は，沸騰現象の解明に挑戦し，現象の全貌を抜山曲線(沸騰曲線)の形で描く先駆的な画期的な論文を発表した．その画期的な研究は1930年代になされた．そのとき伝熱研究は黎明期にあり，抜山は若く40歳未満であった．抜山記念賞は，Thermal Science and Engineeringの分野で2年ごとに，およそ50歳未満の科学者に授与される．

略歴: 抜山四郎

抜山四郎は，1896年3月15日，東京に生まれた．1920年に東京帝国大学を卒業し，直ちに東北帝国大学（現東北大学）講師，1921年に同助教授，1922~24年に英国・ドイツ・スイス・米国訪問を経て，1926年に同教授に任じられた.

以後，沸騰伝熱の研究を活発に行い，1934年に「金属面と沸騰水との間の伝達熱の極大値並に極小値決定の実験」と題する先駆的な論文*を発表した．
抜山はこの研究で，金属線を用いて温度と熱流束を正確に推定する精密な実験により，沸騰現象の全容を抜山曲線（沸騰曲線）の形で明らかにした．すなわち，過熱度と熱流束の関係が単調ではないこと，核沸騰域には極大熱流束点が存在し膜沸騰域には極小熱流束点が存在することを見出すとともに，核沸騰と膜沸騰の間の遷領域では沸騰曲線にヒステリシスの挙動が現れることを見出した．さらに，沸騰水の状態を準静的に変化させることができれば，遷移域でも沸騰曲線が描けることも示唆した．この研究は，沸騰現象の基礎的な物理を明らかにした画期的なものであり，伝熱学の分野における記念碑的論文の一つとして世界から高く評価されてきた．また，燃焼ボイラー・蒸気発生器の設計や制御に関する伝熱工学の指針を与え，現代のエネルギー技術の礎を築いた．今日，伝熱学の教科書で抜山曲線の図が掲載されていないものはないといえる．
抜山は1959年に東北大学を退職し名誉教授の称号を授与された．1963~64年に日本伝熱研究会会長を務め，1968年にはMax Jakob記念賞を受賞した．1983年7月2日に仙台で亡くなった．

* 金屬面と沸騰水との間の傳逹熱の極大値竝に極小値決定の實驗，日本機械学會誌, 37, 206, pp. 367-374, 1934. 英訳版がInt. J. Heat and Mass Transfer, 9, 12, pp. 1419-1933, 1966と、27, 7, pp. 959-970, 1984の2回にわたって掲載された (英文サイト参照)．

参考文献：

抜山四郎: 金屬面と沸騰水との間の傳逹熱の極大値竝に極小値決定の實驗、日本機械学會誌, 37, 206, pp. 367-374, 1934. [PDF] (日本機械学会の
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Award Recipients

Prof. Junichiro Shiomi

The sixth recipient (2022)
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Prof. Ronggui Yang

The fifth recipient (2020)
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Prof. Ruzhu Wang

The fourth recipient (2018)
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[Memorial lecture (TSE, Vol. 27 No. 1, 2019)]

Prof. Mamoru Tanahashi

The third recipient (2016)
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[Report (J. HTSJ, Vol. 56 No. 235, 2017)]
[Memorial lecture (TSE, Vol. 25 No. 3, 2017)]–>

Prof. Gang Chen

The second recipient (2014)
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[Report (J. HTSJ, Vol. 53 No. 225, 2014)]
[Memorial lecture (TSE, Vol. 22 No. 4, 2014)]

Prof. Peter Stephan

The first recipient (2012)
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[Report (J. HTSJ, Vol. 52 No. 219, 2013)]
[Memorial lecture (TSE, Vol. 21 No. 2, 2013)]

Board of the Nukiyama Memorial Award (2024)

Chairperson:	Kazuhiko Suga	(Professor, Osaka Metropolitan University, Japan)
Vice-Chairperson:	Taku Ohara	(Professor, Tohoku University, Japan)
	Catherine Colin	(Professor, Institut de Mecanique des Fluides de Toulouse, France)
	Janusz S. Szmyd	(Professor, AGH University of Science and Technology, Poland)
	Gang Chen	(Professor, Massachusetts Institute of Technology, USA)
	Mamoru Tanahashi	(Professor, Tokyo Institute of Technology, Japan)
	Chang-Ying Zhao	(Professor, Shanghai Jiao Tong University, China)